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近年、獣医学領域でも

外科治療、放射線治療についで新たな局所治療として

電気化学療法(ECT)が注目を浴びています。

まだ実施できる施設は非常に少ないですが、

当院で実施可能となりましたのでご紹介いたします。

電気化学療法(ECT)とは

電気パルスと特定の細胞障害性抗がん剤を組み合わせることで行う、がんの局所治療です。

抗がん剤が、がん細胞へ効率的に作用するため周囲の正常組織へのダメージや全身性の副作用も最小限にできます。

当院ではフランス LEROY社のELECTROvet EZ V4.0を使用しています。

電気化学療法(ECT)の原理

細胞膜の電気穿孔

電気パルスによりがん細胞の細胞膜に穴をあけます。そうすることにより抗がん剤が、がん細胞へ取り込まれやすくなり、通常より高い抗腫瘍効果(ブレオマイシンは約数千倍)が得られます。

抗血管効果

血管ロック(vascular lock)作用により腫瘍細胞の中に抗がん剤を留めます。また腫瘍への血流を遮断することにより腫瘍細胞が低酸素状態となり、腫瘍壊死を引き起こします。

免疫反応の惹起

電気パルスによりがん細胞の細胞膜に穴をあけます。そうすることにより抗がん剤が、がん細胞へ取り込まれやすくなり、通常より高い抗腫瘍効果(ブレオマイシンは約数千倍)が得られます。

適応となる腫瘍

A. 肉眼的病変(腫瘍が確認できる病変)

肥満細胞腫扁平上皮癌肛門嚢アポクリン腺癌軟部組織腫瘍悪性黒色腫(メラノーマ)鼻腔内腫瘍髄外形質細胞腫棘細胞性エナメル上皮腫など

肥満細胞腫皮膚扁平上皮癌鼻腔内腫瘍など

B. 顕微鏡的病変(術後の残存病変など)

犬・猫ともに様々な悪性腫瘍

特に肥満細胞腫、軟部組織肉腫、注射部位肉腫など

治療の流れ

  • ECT適応と判断された場合、麻酔前スクリーニング検査を行う
  • 全身麻酔下で抗がん剤を静脈内、場合により腫瘍内に投与
  • 専用の機械で腫瘍組織に電気パルスを流す
  • 麻酔からしっかり覚醒すれば基本的に日帰り
  • 定期的な経過観察を行う

状況により約1ヶ月間隔で複数回の処置を行う事があります

電気化学療法(ECT)の効果

犬の口腔内扁平上皮癌

奏功率が90.9%(Simcic P,Vet Comp Oncology,2020)

5cm未満の犬のメラノーマ

奏功率が100%(Moretti G,Front Vet Sci,2022)

口腔内メラノーマの症例で、左が治療前、右が治療開始から4ヶ月後の写真。Veterinary Guidelines for Electrochemotherapy of Superficial Tumors. Tellado et al. 2022
猫の皮膚扁平上皮癌

奏功率が80-100%

鼻の扁平上皮癌の猫で(a)ECT当日。(b)1ヵ月後に腫瘍が再増殖したため、2回目のECTを行った。(c)2回目のECTの1ヵ月後に完全奏効が得られた。(d)患者は4ヵ月後も無病のまま。Veterinary Guidelines for Electrochemotherapy of Superficial Tumors. Tellado et al. 2022

電気化学療法(ECT)のメリット・デメリット

メリット
  • 外科手術を回避できる可能性がある
  • 麻酔時間が短い
  • 1回の治療で効果が見られることもある
  • 放射線治療と比べてコストが低い
  • 抗がん剤の全身的な副作用が生じにくい
  • 手術で取りきれなかった病巣にも適応できる
デメリット
  • 全身麻酔が必要である
  • 治療可能な部位が、電極が届く範囲に限られる
  • 治療後に腫れや痛みが生じやすい
  • 大きな腫瘍の場合、縮小により病変部の欠損が生じ、救済的な外科処置が必要になる場合がある(口腔鼻腔瘻、皮膚欠損など)
  • 適応となる症例の見極めが重要

費用

10kgまで:70000円〜
10〜20kg:80000円〜
20kg以上:90000円〜

70000円〜

体重や腫瘍の状態、場所により変動しますので、記載された費用は目安です

麻酔前の検査は別途かかります

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